歯科における根管治療は、切削器具等で物理的に感染組織を除去する方法がとられ、細菌の残存による炎症等が問題となっている。本研究では、広い電位窓を有し、効率的な電解オゾン水生成に応用できるホウ素ドープダイヤモンド(BDD) 電極の特性に着目し、根管に直接挿入して電解できる超小型BDD根管洗浄ユニットの創出をめざした。 最終的に、BDD微粒子を高分子とコンポジット化し、既存の歯科治療器具に塗布して電解機能を賦与することで、フレキシブルで安価な電解ユニットの開発に成功した。研究協力関係にある鶴見大歯学部の里村教授らの協力を得て、ヒトの抜去歯を用いたin vitroでの殺菌効果の評価を実施した。その結果、従来の次亜塩素酸ナトリウム水溶液処理では、殺菌はできるものの、歯質の劣化が起きてコラーゲン組織が露出してしまうのに対し、本研究の処理では、歯質の劣化が起きずに殺菌ができる可能性が示唆された。こうした成果をふまえ、国際特許の出願、学会・論文発表を積極的に実施した。現在、製品化に向け、薬事申請の準備中である。
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