生物電子顕微鏡分野で常用される溶媒置換―樹脂包埋処理を海底堆積物試料の処理に導入し,水分を含む海底堆積物試料を物理的に乾燥させることなく樹脂固定する技術を確立した.これによって堆積物の三次元構造の攪乱を抑え,電子顕微鏡や高解像度X線CTで微細構造を観察し,画像解析によって地層の物理特性などを調べる技術を確立した.さらに,軽元素から構成され,従来は電子顕微鏡などで観察できなかった地層試料中の微生物細胞または類似構造を有する固体状有機物などに重金属を付加する電子染色処理を施し,軽元素から成る物質も同時に観察することが可能となり,こうした粒子の地層内での配置様式を調べる手法的基盤を確立した.
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