研究課題/領域番号 |
25871220
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
後藤 哲人 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 研究員 (50518131)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 金属アレルギー / IV型アレルギー / TCR / 自己免疫疾患 |
研究概要 |
本研究では、口腔領域における金属アレルギー(MA)及び金属アレルギー関連疾患(MAS)発症患者を対象とした病態解明と、その結果に関連する臨床データベースを口腔外科および皮膚科間で連携して構築するすることを目的としている。 一般的にIV型あれるぎー反応と言われるMA及びMAS患者から得られた臨床サンプル(血液・組織)を用いて、T細胞動態と病態成立・形成の寒冷性を検討する。しかし、金属アレルギーの病態に関しては多く不明であり、目的を達成するためには、ヒトのこれら疾患に対し外挿出来うる動物モデルでの検討と平行して検討を進めることが必要となる。T細胞レセプター(TCR)を解析し、本疾患に関連性を示したTCR遺伝子ライブラリーの作成を行い、MA及びMSAに関わるT細胞の抗原特異性の存在を明確化し、更には、自己抗体の産生と各種サイトカインの検出により病態形成メカニズムを解明する。これらを動物モデルを先行させ、ヒトの臨床サンプルにも於いても解析を行い、将来的にはヒトのこれら疾患に対する病態形成に関わるT細胞の役割を解明し、新たな免疫療法開発シード探索に資する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、ヒトに外挿性を示すマウスを用いた金属アレルギーモデルの確立に成功している。今回、我々はマウスのfootpadに金属溶液を感作する系を確立し、ヒトの金属アレルギーの類似したマウスモデルの作成に成功した。用いた金属は、パラジウム、クロム、ニッケルの3種である。ニッケルに関しては、NKT細胞が発症に重要に関与する事、パラジウムに関しては特異的T細胞の関与を明らかにした。また、クロムに関しては、金属による接触性皮膚炎(初回の接触)としての急性炎症と複数回の接触による慢性炎症像を示す病態が存在し、慢性炎症には特異的T細胞とNKT細胞の両方の細胞が関与する事を明らかにした。 口腔外科(鶴見大学歯学部)を受診したMA及びMAS患者の臨床サンプル(血液・炎症局所の組織)に関しては臨床情報と併せてサンプリングを行っており、その一部は病理組織学的検討用、およびtotalRNA抽出を行っている。得られたRNAに関してはTCR遺伝子発現頻度ライブラリー構築に向けて、次世代シーケンシング技術を用いた解析の準備を行っている。既に、次世代シーケンスシングによる手法の確立を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトのMAおよびMSA疾患に外挿性を示すマウスモデルの確立と次世代シーケンシング技術によるTCR解析法が確立されたことから、今現在行っているヒトの臨床サンプルの集積を継続して行い目的とするサンプル数の確保に努める。 1.MAおよびMAS患者サンプルを用いたTCRレパトア解析:各疾患に於いてTCRレパトアにskewが確認された際には、CDR3解析を来ないclonalityを確認する。これにより、これら疾患に関連するTCR遺伝子発現頻度をライブラリーとして構築する。 2.定量的PCRによるサイトカインの発現解析:血液および組織から抽出したRNAを用いてIFNγ、IL-2, IL-4, IL-5等の各種サイトカインの発現解析を行い、T細胞の免疫応答の関与を評価する。 3.自己抗体の検出:患者由来血清を用いたHep-2スライドによる自己抗体の存在頻度を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスによる外挿性モデル作成と次世代シーケンシング法によるTCR解析の確立に注力した結果、ヒト臨床サンプルからのRNA抽出に関わる消耗品費の使用が予定よりも少なかった。 前年度までに、予定した消耗品費に関しては、本年度の計画分に付加して使用する。
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