研究課題/領域番号 |
25871221
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研究機関 | 神奈川県立金沢文庫 |
研究代表者 |
高橋 悠介 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40551502)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中世神道 |
研究実績の概要 |
(1)中世神道資料の調査:「金沢文庫現存神道関係資料総目録」(津田徹英氏作成、1996年)や若手研究(B)「聖教資料に基づく中世神道説の生成と展開に関する研究」(平成22~24年度)の成果などを参照しつつ、前年度に継続して、称名寺聖教中の中世神道資料の調査を行った。また、叡山文庫に所蔵される『山家要略記』『山家最略記』の伝本を閲覧し、称名寺聖教中の『山家最略記』など関連資料との関係について調査した。 (2)中世神道に関係する重要資料の研究:称名寺聖教の中に、表紙に千字文が記された一群の特徴的な説草があり、その中で千字文「金」が記された一群は、山王神などにまつわる神祇関係の説草となっている。本年は、千字文説草全体の成立背景について、『金沢文庫研究』に論文を書くと共に、千字文「金」が記された一群の説草の翻刻にも着手した。また、宝珠をめぐる教説は中世神道説の中でも重要な役割を果たしているが、日本仏教綜合研究学会において、蒙古襲来期の建治三年(1277)に鶴岡八幡宮で宝珠が制作された際の記録を称名寺聖教中から紹介し、その背景について考察する発表を行った。宝珠信仰は、とりわけ院政期に王権と関わりつつ真言密教の体系の中枢に据えられ、日本の神々に対する観念も含む護持僧の作法の中でも重要な役割を果たしてきた。こうした宝珠信仰の鎌倉時代・東国における展開や、神祇信仰とも関わる一面について研究を深めた。 (3)中世神道資料の撮影:称名寺聖教中の中世神道資料を中心に、前年度に継続して撮影を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年9月に、所属する博物館の収蔵庫においてカビの発生が確認され、臨時閉館の上、収蔵庫の環境整備に専念したことから、調査等ができない時期があったものの、その後は順調に研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となるため、これまでの研究の取りまとめに力を注ぐ予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年9月に所属する博物館の収蔵庫においてカビが確認され、臨時閉館の上、収蔵庫の環境整備に専念したことから、しばらく調査等が行えず、そのために予定していた金額を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、聖教調査を行うにあたり、研究協力者等にも調査を依頼する予定で、そのために繰り越した科研費を用いる計画である。
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