(1)中世神道資料の調査:「金沢文庫現存神道関係資料総目録」(津田徹英氏作成、平成8年)や、若手研究(B)「聖教資料に基づく中世神道説の生成と展開に関する研究」(平成22~24年度)の成果などを参照しつつ、前年度に継続して、称名寺聖教中の中世神道資料の調査を行った。 (2)中世神道に関係する重要資料の研究:称名寺聖教の中、表紙に分類のための千字文が付された特徴的な説草群がある。その中、千字文「金」が記された一群の説草は、山王神などにまつわる神祇関係を主題とした説草であり、これらの翻刻・研究を進めた。また、称名寺の神祇書類の伝来に関わる重要人物、秀範の自筆の『諸社口決』について『金沢文庫研究』に翻刻と解題を執筆した。その他、建治3年(1277)の鶴岡八幡宮寺における宝珠制作について記された『某宝次第〈酉酉〉』について、三本の伝本を調査した上で『金沢文庫研究』に翻刻と解題を掲載し、その経緯や背景を『日本仏教綜合研究』に執筆した。 (3)中世神道資料の展示・研究成果の公開:平成27年10月2日(金)~11月15日(日)に神奈川県立金沢文庫で開催した特別展「仏教説話の世界」においては、「神仏の霊験と寺社縁起」という章を中心に、神祇に関わる説話が記された説草を展示した。具体的には、称名寺聖教のうち、春日社関係の説草や、神祇を主題とする千字文説草の一部を展示すると共に、図録『仏教説話の世界』においてそれらの写真と翻刻、解説を掲載し、研究成果の一端を公開した。 (4)中世神道資料の撮影:称名寺聖教中の中世神道資料を中心に、前年度に継続して撮影を進めた。
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