研究課題/領域番号 |
25871226
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
富田 夏夫 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 研究員 (60643781)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 強度変調放射線治療 / 直腸障害 / 線量制約 / 画像誘導放射線治療 |
研究概要 |
安全で有効性の高い治療の実現を目的に、前立腺癌に対し画像誘導下強度変調放射線治療(Image-guided intensity modulated radiation therapy;IG-IMRT)の普及が期待されている。前立腺癌の放射線治療において最大の問題は直腸障害である。IG-IMRT では標的部位に対する正確な照射を実現するとともに直腸の被爆線量を低減し、従来法における直腸線量制約を満たすことが可能である。しかしIG-IMRT においても依然直腸障害は問題であり、IG-IMRT に適合した直腸線量制約の指標が必要である。本研究の目的は、前立腺癌に対する高精度放射線治療であるIG-IMRT における、直腸線量制約を中心とした適切な放射線治療計画の指標作成である。本研究は昨年度から現在にかけて、限局期前立腺癌で当院でIG-IMRTで治療された症例の臨床データ、放射線治療計画データ、経過観察中に認められた合併症及び癌制御率のデータを取得中である。まずはIG-IMRT後の直腸障害と臨床データ、放射線治療計画データの関係を予備的検討としてまとめ、日本放射線腫瘍学会誌に報告した(Tomita N et al. J Radiat Res 2013、英文、査読あり)。その予備的検討では、直腸障害をきたした全ての症例において従来法における直腸線量制約を満たしており、さらにそのような低い直腸被爆線量の中でもやはり障害を認めた群と障害を認めなかった群間で直腸線量に有意差を認めた。このことはIG-IMRTでは、従来法の直腸線量制約よりもより厳格な指標が必要であることを示唆している。本研究は引き続いて、症例数、経過観察期間を増やし、前立腺癌に対する高精度放射線治療であるIG-IMRTにおける、直腸線量制約を中心とする適切な放射線治療計画の指標作成を試みていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は昨年度から現在にかけて、限局期前立腺癌で当院でIG-IMRTで治療された症例の臨床データ、放射線治療計画データ、経過観察中に認められた合併症及び癌制御率のデータを取得中である。まずはIG-IMRT後の直腸障害と臨床データ、放射線治療計画データの関係を予備的検討としてまとめ、日本放射線腫瘍学会誌に報告しており(Tomita N et al. J Radiat Res 2013、英文、査読あり)、研究の進行状況は現時点では概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
既にIG-IMRT後の直腸障害と臨床データ、放射線治療計画データの関係を予備的検討としてまとめ、日本放射線腫瘍学会誌に報告した(Tomita N et al. J Radiat Res 2013、英文、査読あり)。本研究は引き続いて、症例数、経過観察期間を増やし、前立腺癌に対する高精度放射線治療であるIG-IMRTにおける、直腸線量制約を中心とする適切な放射線治療計画の指標作成を試みていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度設備備品として申請した統計ソフトは当研究のデータ解析に不可欠である。当初、統計ソフトSPSS Statistics メディカルモデル(日本IBM)56万円 の購入を予定していた。しかし、医学論文にも使用できる無料統計ソフトEZR(Kanda Y. Investigation of the freely available easy-to-use software 'EZR' for medical statistics. Bone Marrow Transplant 2013; 48: 452-458)が2013年度中に使用可能な状況となり、当研究にも使用することとしたため、統計ソフトSPSS Statistics メディカルモデルの購入を見送ることとなった。 上記統計ソフトSPSS Statistics メディカルモデルの購入見送りに生じた金額は、今後執筆予定の論文投稿にあたり、掲載承諾された際にopen access代金(雑誌により10-30万円)等として使用させて頂くことを検討している。
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