研究課題
安全で有効性の高い治療の実現を目的に、前立腺癌に対し画像誘導下強度変調放射線治療 (以下IG-IMRT)の普及が期待されている。前立腺癌の放射線治療において最大の問題は直腸障害である。IG-IMRT では標的部位に対する正確な照射を実現するとともに直腸の被爆線量を低減し、従来法における直腸線量制約を満たすことが可能である。しかしIG-IMRT においても依然直腸障害は問題であり、IG-IMRT に適合した直腸線量制約の指標が必要である。本研究の目的は、前立腺癌に対する高精度放射線治療であるIG-IMRT における、直腸線量制約を中心とした適切な放射線治療計画の指標作成である。本研究は、2013年、2014年度にかけて、限局期前立腺癌に対して当院でIG-IMRTで治療された症例の臨床データ、放射線治療計画データ、経過観察中に認められた合併症及び癌制御率のデータを取得した。2013年度には、IG-IMRT後の直腸障害と臨床データ、放射線治療計画データの関係を予備的検討としてまとめ、日本放射線腫瘍学会誌に報告した(Tomita N et al. J Radiat Res 2013、英文、査読あり)。その予備的検討では、直腸障害をきたした全ての症例において従来法における直腸線量制約を満たしており、さらにそのような低い直腸被爆線量の中でもやはり障害を認めた群と認めなかった群の間で、直腸線量に有意差を認めた。このことは前立腺癌に対するIG-IMRTでは、従来法の直腸線量制約よりもより厳格な指標が必要であることを示唆している。本研究では、現在この予備的検討からさらに症例数と経過観察期間の追加をし、前立腺癌に対する高精度放射線治療であるIG-IMRTにおける、直腸線量制約を中心とする適切な放射線治療計画の指標につき現在解析中である。
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