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2015 年度 実施状況報告書

日本海堆積物の花粉分析からみる森林動態に対する海洋・モンスーン変動の影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 25871229
研究機関滋賀県立琵琶湖博物館

研究代表者

林 竜馬  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (60636067)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード環境変動 / 古生態 / 森林動態 / 花粉分析 / 日本海堆積物
研究実績の概要

日本海環境や東アジアモンスーンシステムの状態により、気候変化による日本の森林生態系の応答が異なっていたことが明らかになってきた。本研究では、日本海堆積物の花粉分析に基づき森林動態に対する海洋・モンスーン変動の影響評価を行う。そのために、1)日本海堆積物に含まれる花粉化石群集の変遷を解明、2)日本海堆積物の花粉化石群集が反映する植生範囲の特定、3)日本海環境と東アジアモンスーンの変化による森林動態への影響の評価を実施する。
27年度には、2007年のKR07-12航海において大和海盆で採取されたPC-07堆積物について花粉分析を26年度から引き続き実施を行った。その結果、日本海堆積物中の花粉含有量と堆積物の明度の間に相関関係が認められ、日本海環境の変動にともなって花粉堆積量も大きく変動してきたことが確認された。あわせて、2013年にIODPで採取された鳥取沖でのロングコア試料U1427について、上部約15万年間の花粉分析を行った。また、花粉分析結果が反映している森林の範囲を把握するために、日本海周辺地域の陸上堆積物の花粉分析結果を収集整理していくことを目指し、琵琶湖周辺地域をモデルケースとしたデータベースの基盤作成をひきつづき実施した。くわえて、花粉分析結果から植生量を復元するための基礎資料となる花粉生産量について、過去のデータの収集整理と新規データの収集の検討を行った。さらに、海洋環境と東アジアモンスーン変動の影響を明らかにするための基礎資料として、琵琶湖湖底堆積物による花粉分析結果と古気候変動研究との対比を実施した。
本成果の一部については、国内外の学会、国際ワークショップにおいて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

27年度には、日本海で採取されたPC-07堆積物については約15万年間について5,000年間隔で、U1427堆積物については約15万年間について10,000年間隔で、それぞれ花粉分析を実施し、森林植生の変遷と日本海環境との対応関係について考察を進めることができた。また、花粉分析結果が反映している森林の範囲を把握するための、琵琶湖周辺地域での花粉分析データベースの基盤作成と植生量を復元するための基礎資料となる花粉生産量についてのデータの収集整理を実施することができた。

今後の研究の推進方策

28年度には、2013年にIODPで採取されたロングコア試料U1427 堆積物について約10,000年間隔での花粉分析を50万年間の堆積物について実施していく。また、陸上堆積物の花粉分析結果の収集整理の結果や、花粉生産量を考慮したモデルシミュレーションの検討を行うことにより、花粉分析結果が反映している森林の範囲を考察していく。さらに、日本海堆積物の花粉分析結果と他の古環境変動データとの対比を進めていくことにより、日本列島の森林植生の成立過程に対して日本海環境が及ぼしてきた影響を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

特注で発注を計画していた採土器の製作を計画していたが、金額と製作準備期間がおりあわず、製作を断念したため計画していた物品購入が出来なかった。くわえて、研究機関に設置されている顕微鏡の使用が混雑する状況がおこっており、今後の効率的な分析を進めていくために、年度初頭に本科研プロジェクトで個別の顕微鏡を購入することを計画している。そのための購入予算分として次年度に繰り越し使用を行う。

次年度使用額の使用計画

今後の効率的な分析を進めていくために、次年度使用額と当該年度研究費を合算して、追加で顕微鏡の購入を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Integrated Ocean Drilling Program(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Integrated Ocean Drilling Program
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      10
  • [学会発表] Orbital-scale biostratigraphy based on pollen records from KC07-12 pc-07 and Exp 346 U1427 since the last interglacial2016

    • 著者名/発表者名
      Ryoma Hayashi, Tomohisa Irino
    • 学会等名
      Asian Monsoon IODP Expedition 346 2nd (Science) Postcruise Meeting
    • 発表場所
      University of Melbourne, Australia
    • 年月日
      2016-01-22
    • 国際学会
  • [学会発表] 最終間氷期以降の気候変動に対する植生の応答過程の解明2015

    • 著者名/発表者名
      林 竜馬
    • 学会等名
      日本花粉学会第56回大会
    • 発表場所
      滋賀県立琵琶湖博物館
    • 年月日
      2015-10-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 琵琶湖の花粉学からみる百万年・十万年・千年スケールでの気候と植生の変動2015

    • 著者名/発表者名
      林 竜馬
    • 学会等名
      日本花粉学会第56回大会
    • 発表場所
      滋賀県立琵琶湖博物館
    • 年月日
      2015-10-03
    • 招待講演
  • [学会発表] Regional contrast in millennial-scale vegetation and climate variability during the last glacial based on pollen records from East Asia2015

    • 著者名/発表者名
      Ryoma Hayashi, Hikaru Takahara, Yaeko Igarashi, Fujio Kumon, Koji Shichi
    • 学会等名
      the XIX INQUA Congress 2015
    • 発表場所
      Nagoya University, Japan
    • 年月日
      2015-08-15
    • 国際学会
  • [備考] 琵琶湖博物館林竜馬のウェブサイト

    • URL

      http://www.lbm.go.jp/hayashi/Welcome.html

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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