研究課題/領域番号 |
25871230
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館 |
研究代表者 |
中尾 優衣 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学芸課, 研究員 (00443466)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 工芸 / 図案 / 近代 / デザイン / 産業 / 美術 / 染織 / 漆 |
研究実績の概要 |
本研究は年度計画の通り、近代の文献資料から「図案」と「図案家」に関する事項を抽出、データベース化する作業が中心であり、この作業を初年度より継続して行っている。平成26年度は、前年度に調査対象とした文献から、さらに周辺の関連資料へと範囲を広げてテキストおよび図版収集を行った。文献に誤植があった場合でも、これまでのデータの蓄積によって、関西圏の漆芸と染織の関係者については、前後の文脈から固有名詞を推測することがある程度可能になってきていることは、地道な調査がようやく実り始めた証拠であろう。今後の作業の効率化と、データベースの精度を上げるための基本作業として、本研究で中心となるいくつかの文献については、現状のデータベースの成果をフィードバックする形で再点検を進めているところである。 一方で、聞き取り調査も進めているが、調査時に対象者が膨大な資料類を保管していることが判明する例も多く、これについても今後柔軟に対応し、できる限りデータベースにも反映させていく予定である。新たに見つかった資料のいくつかは、近代工芸において貴重なものも含まれており、本研究の成果としてじゅうぶん評価できるものである。 また平成26年度には、申請者が企画した展覧会および、展覧会図録に収載した図版や拙稿に、本研究の成果の一部を活かすことができた。研究内容の一部を公開できたことで、研究者間の意見交換も行えたことは大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査に基づくデータベース化の作業は、データの蓄積が増えるにつれて順調に進んでいる。一方、聞き取り調査で新たに発見された資料類も対象にすると、作業量の増加はやむを得ず、申請時の計画からは少々遅れている。ただし全体としては、ほぼ計画通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
まだまだ未着手の分野であるため、調査を進めれば進めるほど、資料が見つかるという現状がある。まずは、申請者に研究の蓄積がある関西圏の図案を重点的に調査し、ある程度範囲を区切って行うことで、さらに効率を上げることができると考える。また、専門分野の近い研究者と研究会を開き、情報交換を密に行うことで研究を深めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査先との調整がつかない事例があったため、旅費の一部を使用しなかった。また、聞き取り調査の際に協力謝金を予定していたが、一部、無償での調査協力があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定の調査を実施する。また謝金の残額については、当初予定より大幅に増えた資料のデジタル化費用に充てる。
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