研究課題/領域番号 |
25871237
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
森口 哲朗 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (10635890)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小動物 / PET / 標識酸素 / 非侵襲 / 定量化 / 脳虚血 / 脳血流量 / 脳酸素代謝量 |
研究概要 |
15O標識ガスPET検査は脳循環代謝画像を定量化できる有効な方法である一方で、実験小動物を対象にした非侵襲的な脳循環代謝のイメージング計測においては必ずしも確立した手法が存在するわけではない。近年、多くの循環器疾患モデル動物が開発されており、これらの病態理解や新規治療法の有効性評価にとって、脳循環代謝量の経時的な変化を観察することは重要である。本研究では、低侵襲で同一個体による繰り返しイメージングを可能とする小動物15O標識ガスPET検査の確立を目的とする。そのために、本研究では、15O標識ガスの投与法としてラットの自発吸入を利用し、また、従来行われてきた血中の放射能濃度を知るための動脈採血を排除すべく、本検査の無採血定量化を目指す。 今年度は、主に、撮像環境の構築、及び、撮像条件の最適化を行った。15O標識ガスの飛散を防ぐための密閉式ラット固定容器や不織布製のフェイスマスク等を準備した。使用した固定容器は、小動物用PETだけでなく、小動物用7T-MRIにも取り付けることができるよう工夫した。これにより、固定容器の移動のみで、容器内に固定されたラットを動かすことなく、同じ固定状態でPETとMRIの同時撮像が可能となる。これらを用いて、ラットの自発吸入による15O標識ガス(C15O2, 15O2, C15O)のPET撮像を行った。固定容器内のガス換気やラットの固定方法の最適化を行うことで、フェイスマスク近傍に淀む15O標識ガスによる脳画像へのアーチファクトを抑えることができた。また、今年度は、低酸素虚血モデル仔ラットを対象(n=9)とした15O標識ガスPETとMRIの同時撮像を実施した。一個体に対しモデル作成当日から41日後までの計5回の撮像を実施し、病態の経時的な変化を観察することによって、低酸素虚血疾患の予後予測に関する新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、ラットの自発吸入による15O標識ガスPET検査システムの環境を構築すると共に、本システムにより脳虚血性疾患モデルラットの病態を経時的に観察することができた。また、脳循環代謝画像の無採血定量化に関する検討を行っている一方で、これらの妥当性評価は今後行っていく予定である。以上のことから、本研究の進捗としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では、小動物15O標識ガスPET検査による、脳循環代謝画像の無採血定量化の確立を目指す。薬物動態モデルに基づく15O標識ガスの体内挙動を考慮した無採血定量解析法を検討する。健常ラットを対象とした15O標識ガスPET検査を実施し、新しい解析法による定量画像を導出すると共に、動脈採血を用いる従来法の結果との比較から、新手法の妥当性を示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
フェイスマスク近傍に淀む15O標識ガスによる脳画像へのアーチファクトを除去するために、当初、フェイスマスクの周りに鉛等の遮蔽シールドが必要と考えられたが、固定容器内のガス換気の最適化によってこれを達成することができた。 本年度に準備した固定容器では、ラットは上切歯のみによって固定されたが、ラットの体動による影響がMRI画像上であったため、ラット頸部の固定が可能な容器への改良を考えている。
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