重森三玲の代表的著作である『日本庭園史図鑑』(1936-1939)および『日本庭園史大系』(1971-1976)における記載から、重森が庭園の造営年代の根拠を庭園様式に求める際の、様式的特徴について、江戸時代の庭園を対象に、その記載内容を抜粋、分析をおこなった。結果、重森は、池の形状を中心とする地割や、三尊石組や滝石組、護岸石組等の石組の力強さ、植栽における刈込あり方について、各時期の「典型的」な特徴を挙げていることがわかた。一方、個別庭園の年代鑑別においては、石組にみられる特徴が、地割にみられる特徴に優先するかたちで造営年代を遡らせる傾向にあるという仮説が得られた。
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