本研究は「水中パルス放電による超高圧力の制御技術の開発」と「その技術を用いた切断及び塑性加工法の開発」を目的として研究を進めた。初年度の平成25年度は、「超高圧力の制御技術の開発」を目的とした。超高圧力の制御技術では、水中放電によって発生する3種類の瞬間的負荷力(水中放電によって発生する放電直後に水が気化したときに生じる衝撃波、放電によって気化したガス(水蒸気)の脈動が生じることによって発生する衝撃波、ガス流動によって発生する水撃作用)が水中放電の超高圧力を利用する応用技術のカギとなり、複合的な付加作用になるため、本研究では特に重要な研究内容になる。そのため、これらの超高圧力の評価を実験及び数値シミュレーションを用いて実施し、装置設計に重要な圧力などの基礎データを取得することができた。最終年度の平成26年度は、「超高圧力の制御技術を用いた切断及び塑性加工法の開発」を目的とした研究を実施した。具体的には、数値シミュレーションを利用した解析主導型の装置設計を行い、水中放電利用の金属加工装置の開発を行った。前年度に引き続き、実験による比較検証用の水中放電現象の基礎データの集積を行い、数値シミュレーション技術の精度向上に活用した。実験と数値シミュレーションにより密閉型の加工装置の特性を評価し、水撃作用に重要な空気層の最適化を行った。試作した装置を使って銅薄板材に対して水中放電加工を試み、塑性加工の一つである金属板への転写ができることを実証した。 また、最終年度の平成26年度は本研究内容に関連する学会、講習会、シンポジウムなど(6件)に参加して研究動向の調査を行い、塑性加工学会、火薬学会、衝撃波シンポジウムにおいて本研究の成果(5件)を発表した。
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