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2013 年度 実施状況報告書

努力継続力の神経基盤解明と努力継続力を強化する手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25871251
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

細田 千尋  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 科研費研究員 (20578976)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード学習 / 継続力 / 前頭極 / 報酬(達成感)
研究概要

【成果】大学生被験者を対象に長期運動学習介入を実施し、被験者が日々の課題を継続し目標達成(運動学習完遂)できるか否か関わる行動指標と灰白質容積の相関を調べることで課題に依存しない『努力継続力』の神経基盤(前頭極の発達)を明らかにした。また、報酬条件(達成感の付与)をかえた2群を作成し、各群における完遂者数の比較を行ったところ、長期実験中こまめに達成感を与える学習プログラムで学習を実施した群では、辞退者が数名にとどまった一方、達成感付与感覚が長い群では、約半数の人が学習途中で辞退する、という結果をえた。以上より、学習継続には、細めな達成感の付与が重要な要素である事を明らかにした。
【具体的内容】実験開始前に、被験者の動機水準・知能指数・人格特性・メタ認知力・時間割引率・MRIを計測した上で、それらの指標が均質になるような2群を用意した。その上で、両群に1ヶ月間の指系列運動学習課題を実施した(PCプログラムによる)。学習量、内容は全く同じプログラムだか、小ゴール設定による達成感を与えるタイミング数をかえたプログラムを各群に配布し、各群において、①1ヶ月課題を続けた完遂者と中途辞退者間の、MRIデータと各種心理データを比較 ②群間の完遂者数した。
完遂者と辞退者の知能や性格特性、開始前の動機水準には差がなかった。しかし、課題実施前に取得したMRIデータは、辞退者に比べ、完遂者の前頭極の灰白質体積が課題開始前にあらかじめ発達していたことを示した。これらの結果は、昨年度行った長期認知課題(英語学習)における完遂者と辞退者の比較検討結果と一致した。さらに辞退者と比べ、完遂者のメタ認知力が高いことがわかった。また、こまめに小ゴールを作成し達成感を多く与えた群の方が辞退者が圧倒的に少なかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

到達目標であった課題に依存しない努力継続力の神経基盤について明らかにする事ができた。また、報酬(達成感)付与の変化によって、学習継続を強化する学習プログラム開発も行う事ができた。さらに、脳構造から、学習継続可否を学習開始前に予測する、判別器の作成も行い、特許申請をおこなった。この点については当初の目標にはなかったことから、計画以上の進展と言える。しかし、短期間に、2度の職場移動とそれに伴う研究費の移管作業等が重なった事があり、本年度パイロット実験のために購入を予定していた磁気刺激のために購入しようと納期が間に合わず実験を延長することを余儀なくされたことなどから、大型装置購入のために使用できずにいた予算はそのまま繰り越しているが、26年度予算とあわせた上で、必要消耗品とあわせて今年度早急に購入する予定である。全体としては、おおむね順調に推移していると考える。

今後の研究の推進方策

予算執行が可能になった後早急に、磁気刺激装置や解析装置などを購入したうえで、25年度の研究成果を応用する実験を実施する予定である。
具体的には、これまでに成果の出ている長期運動学習実験パラダイムを使用し、学習の実施と並行して、前頭極(努力継続に関わる部位)の電気刺激を行う群、脳の運動領域(運動課題にかか関わる領域)の電気刺激を行う群、及び、コントロール群(シャム刺激)において、各群の、長期学習完遂者数や、到達成績度の比較をする事により、効果的な学習促進法を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

25年度は、1月半ばから移動になり、また、4月からも移動が決まっていたため年度内に2度の職場移動に伴う研究費の移管作業等が重なった。本来、予備実験のために、年度内に、経頭蓋直流刺激装置及び周辺器機購入(100万程度)を予定していたため、予算を確保しておいたのだが、納期が間に合わず購入及び実験を延長することを余儀なくされた。大型装置購入のために使用できずにいた予算はそのまま繰り越しているが、26年度予算とあわせた上で、必要消耗品とあわせて今年度早急に購入し、それにより研究を進めていく予定である。
経頭蓋直流刺激装置及び周辺器機購入のため物品費として 1,000,000、成果発表国内外あわせて 旅費として 500,000、経頭蓋直流刺激装置利用の実験謝金として 500,000。
上記の様に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Dynamic neural network reorganization associated with second language vocabulary acquisition: a multimodal imaging study2013

    • 著者名/発表者名
      Hosoda C, Tanaka K, Nariai T, Honda M, Hanakawa T
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 33 ページ: 13663-13762.

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0410-13.2013

    • 査読あり
  • [学会発表] Neural substrate of making it through the goal2013

    • 著者名/発表者名
      Hosoda, C., Tanaka, K., Tatekawa, M., Honda, M., Osu, R., & Hanakawa,
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      convention center, San Diego
    • 年月日
      20131108-20131113
    • 招待講演
  • [学会発表] 目標達成できる人と三日坊主の神経基盤差2013

    • 著者名/発表者名
      Hosoda, C., Tanaka, K., Tatekawa, M., Honda, M., Osu, R., & Hanakawa, T.
    • 学会等名
      neuro2013
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      20130620-20130623
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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