研究実績の概要 |
認知(英語)および運動(左手書字)を用いた長期(3ヶ月)介入実験を実施した。 その際、学習による脳可塑性の解明をすると同時に、個人差にあわせた効果的な学習法を明らかにするために、各種心理測定、知能検査、心理実験もあわせておこなった。 知能検査と心理測定の計測結果から、被験者を、防衛的悲観主義度の高さ、楽観主義度合い、愛着傾向の高さによって分類した後に、防衛的悲観主義度合い、楽観主義度、愛着傾向度合い、知能指数に有意差がないような2群を作成した。その上で、まったく内容が同じ学習を実施した。ただし、学習環境の定め方を、片方の群は、競争環境化とし、もう片方のは、目標達成環境とし、学習法の教示を変えた。 長期学習期間において、学習前後に加え、学習中に4日ごとに、脳解剖画像、拡散強調画像、NODDIによる脳の形態の変化,および、脳機能結合(rsMRI)の変化を計測した。 その結果、脳は学習により従来考えられていた以上に早く学習に伴う可塑性を見せる事を明らかにした。特に、形態変化に先立ち、機能結合が可塑的に変化しはじめることが明らかになった。また、可塑的変化も習熟度に応じて変化部位が変わっていくことが明らかになり、習熟度がますにつれて、特定の部位の変化のみに集約されていくことも明らかになった。最終的に変化を起こす領域の保たれ具合が、後の学習保持に影響してることも明らかとなった。 一方行動においては、防衛的悲観主義の高い人ほど競争的環境化で能力を発揮しやすく、脳可塑性も亢進されることが明らかになった。楽観主義者は、一方で、競争的環境下では脱落が高く、目標達成環境のほうが能力を発揮しやすいことが明らかとなった。愛着傾向は、学習時間の長さと密接な関係があることもあきらかとなった。
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