研究課題/領域番号 |
25880013
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
立間 淳司 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60711166)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 三次元物体 / 二次元スケッチ画像 / 情報検索 / 特徴抽出 / データベース |
研究概要 |
近年,産業・医療・エンターテイメントなど,様々な分野で三次元物体が利用され,三次元物体データは爆発的に増加している.大量の三次元物体を効率的に管理・運用する手段として,三次元物体の形状類似検索技術が注目されている.本研究の目的は,直感的で簡便な検索を目指した,二次元スケッチ画像を検索質問とした三次元物体の形状類似検索技術の開発である.今年度は,二次元スケッチ画像と三次元物体の双方から,検索性能の優れた特徴量を抽出する手法について研究を行った.比較可能な特徴量を得るために,三次元物体から多視点で線画画像を生成し,二次元スケッチ画像と同様に,画像特徴量を抽出することを考えた.そこで,まず,既存の画像特徴量についての調査を行った.結果として,画像認識で利用されるHistogram of Oriented Gradients(HOG)やLocal Binary Patternといったエッジ情報を捉えた特徴量が有効であることを明らかにした.また,画像の形状類似検索で利用されるフーリエスペクトルやツェルニケモーメントに基づく特徴量は,あまり良い検索性能を得られないことも確認した.さらに,スケッチ画像と三次元物体から生成した線画画像の前処理には,細線化と平滑化が有効であることを確認した.これらの知見から,画像を段階的に重複分割し,得られた小領域ごとにHOGを抽出する手法を開発し,従来手法よりも優れた検索性能を得ることができた.上記の研究成果をもとに,三次元物体の形状類似検索技術に関する国際的なコンテストに参加し,優れた成績を納めた.また,国内学会にて報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標は,二次元スケッチと三次元物体から,比較可能な特徴量を抽出する手法の考案であった.この目標に対して,三次元物体から多視点で生成した線画画像と,二次元スケッチの双方で,画像を段階的に小領域に重複分割し,その小領域からHistogram of Oriented Gradientsを抽出する手法を考案した.この特徴抽出手法は,従来手法よりも優れた検索性能を得ることができ,特徴抽出では,画像の形状の位置と連続変化を捉えることが有効であることを明らかにした.また,三次元物体から生成した線画画像と二次元スケッチ画像の前処理には,細線化と平滑化が有効であることを確認した.さらに,来年度実施予定であった,特徴空間の構造を考慮した順位付け手法も考案した.これにより,さらなる検索性能の向上が見られた.先の特徴抽出手法とあわせて,三次元物体の形状類似検索の国際的コンテストであるSHREC’14の二次元スケッチ画像を検索質問としたトラックに参加し,検索性能第一位を獲得した.以上から,研究は予定どおり進行していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
より優れた検索性能を得るために,特徴抽出部のさらなる改良を続ける.コンテストで優れた成績となったが,実用化を考えた場合,十分な検索性能とは言えない.特に,過度にデフォルメして描かれた二次元スケッチ画像を検索質問とした場合では,三次元物体から生成した線画画像と形状が大きく異なるため,期待する検索結果を得ることができない.この問題に対しては,訓練データセットを用いて検索質問を拡張するなど,検索質問の形状情報を補い,三次元物体の形状に近づけることが重要であると考える.その他に,特徴空間の構造を考慮した順位付け手法の応用も考えたい.今年度考案した順位付け手法は,三次元物体間の類似度に対して,二次元スケッチ画像と三次元物体との類似度を伝搬させるようにして,最終的な順位を算出する.この手法は,検索質問が二次元スケッチ画像の場合だけでなく,デジタルカメラなどで撮影された画像の場合でも有効であると考える.二次元スケッチ画像だけでなく,多様な検索質問に対応した三次元物体の形状類似検索技術を目指して研究を進めたい.
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