研究課題/領域番号 |
25880017
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
榎本 理恵 東京理科大学, 理学部, 助教 (30711767)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 統計科学 |
研究概要 |
医学や薬学で現れるような標本数よりも次元数が大きい高次元データに対する研究は重要な問題である.本研究では高次元データに対する正規性検定と多項式モデルにおける変数選択を主とした.本年度では以下の点での研究成果を得た. ・標本数と次元数がともに大きくなる高次元データの下で成長曲線モデルに対する変数選択規準量の導出に成功した(HAIC).また,次元数と標本数がともに大きくなる仮定を置いた場合,大標本データに対する規準量AICおよびHAICの漸近分布の導出を行った.そして,それぞれの規準量は一致性を持たないことを示した.さらに数値実験により高次元データに対して導出したAICの選択確率は大標本理論のもとで導出されている選択確率よりも近似精度が良いことを確認した. ・成長曲線モデルに対する規準量の一致性については前述の結果にあるように,AICとHAICは高次元データの下で一致性を持たないことが示されている.しかしグループ数と標本数が共に大きいような仮定を置いたとき,いくつかの仮定を加えることで規準量の一致性を議論することに成功した.また,AICを修正した規準量についての一致性を議論し,数値実験においてその有用性を示した.このとき修正した規準量に対して非心行列のオーダー項は標本数についてのみ考慮していたが,標本数とグループ数について議論すること,別の高次元枠組みでの議論やMallows型の規準量についての議論などが今後の課題として挙げられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付書に記した高次元データの下での成長曲線モデルに対する規準量については,一致性や選択確率の導出など順調に結果を得ている.しかし正規性検定については大標本データの下での議論について研究段階であり,こちらについては来年度以降の課題となっている.成長曲線モデルに対しては計画よりも研究が進み,研究成果で述べた規準量に加えいくつかの規準量について発展した研究を計画している.成長曲線モデルおよび逆回帰モデルに対する研究と並行して研究を進めていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
成長曲線モデルに対しグループ数と標本数がともに大きい仮定のもとで,さまざまな規準量に関する特性を議論することを構想している.特に非心行列のオーダー項の仮定をより現実的なデータを想定した場合の議論を行う予定である.議論する規準量としては,AIC,BIC,Mallows型の規準量である.結果がまとまり次第学術雑誌に投稿する.また,高次元データの下での逆回帰モデルに対する規準量については,成長曲線モデルや回帰モデルでの議論とは異なり漸近分布の導出などが非常に困難になることが予想されている.しかしながら,さまざまな規準量に関する一致性を議論することは重要であるため,高次元データに対する規準量の一致性について議論を行う予定である. 正規性検定については数値的に検証をしており,結果をまとめ学術雑誌に投稿する予定である.
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