研究課題/領域番号 |
25880018
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 文化学園大学 |
研究代表者 |
吉田 昭子 文化学園大学, 現代文化学部, 教授 (00713306)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 情報図書館学 / 公立図書館史 / 東京図書館史 |
研究概要 |
東京市立図書館(東京都立図書館の前身)は,第二次世界大戦前に独自な図書館構想を持ち,先駆的なサービスを展開していた図書館である。関東大震災により甚大な被害を受けたものの,短期間に復興を遂げている。本研究の目的は東京市立図書館の図書館構想やサービス等の変化について,社会情勢や東京市の行財政,教育政策等の関連,社会的な背景を含めた総合的な見地から考察を加えることである。 平成25年度は,関東大震災前の東京市立図書館の状況に注目して研究を進めた。先行研究で取り上げられることの少なかった東京市関係の公文書類,当時の新聞,雑誌を含めた調査を実施した。東京市立図書館では,明治41年に第一番目の図書館として日比谷図書館が設立され,翌年には深川図書館が開館した。その後は,学校付設図書館が次々に建設され,大正4年の機構改革によって,日比谷図書館を中央館とした東京市立図書館網が構築された。公文書等の一次資料の調査を通じ,図書館網の構築にいたる過程で,図書館側による周到な準備と東京市の行財政や教育事情等の情勢を考慮した経営上の先進的な取り組みが行われていたことが明らかになった。引き続きその後の展開について,26年度に調査分析を進め,成果は原著論文として投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる25年度は,特に関東大震災前にあたる大正初期の東京市立図書館の状況について研究を実施した。東京市立深川図書館が建設された後,東京市立図書館では学校付設図書館が急速に増設され,図書館網構築の基盤が形成された。この大正初期の状況について,一次資料等を用いた調査を実施した。関東大震災前に関する研究の成果を,Library and Information Science(三田図書館情報学会誌)に論文として発表することで,26年度につなぐ研究の基礎を形成することができた。また,関東大震災関連については,新たに東京市立駿河台図書館・一橋図書館の震災時期に関わる一次資料が存在することがわかったので,今後の新しい研究の方向性を探っていくことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度も公文書類,新聞,雑誌を含めた一次資料等の文献調査を中心に研究を進める。25年度に引き続き,関東大震災前後の東京市立図書館について公文書等の調査研究を行う。26年度は駿河台図書館・一橋図書館関係の文書等の調査もあわせてまとめたい。図書館内部だけではなく,東京市の行財政,教育等外部との関連性も踏まえ,東京市立図書館史をとらえなおす。従来から積み重ねてきた研究結果を生かしつつ,新たな方向性も視野にいれて研究を深め,その成果を発表したいと考えている。
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