研究課題
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【研究目的】脳神経系の情報処理・制御機構の理解はサイエンスとしての大きな関心事であると同時に、そこからの発展として、工学分野においては新規情報処理/通信システム・アーキテクチャの構築が、そして病理学分野においては精神疾患などの理解と治療法の確立が期待される。脳は1000億個の神経細胞がネットワークを形成して動作する複雑なシステムである。従って、その機能の諸原理を回路レベルで理解するためには、その機能素子である神経細胞に着目して、神経細胞間の相互作用を記述する法則を導き、そして神経細胞の集団的な動作・制御機構を解明する必要がある。本研究の目的は、神経細胞ネットワークにおける集団的ダイナミクスとして脳機能を理解するために、中枢神経系の機能モジュールを生きた神経細胞を回路素子として細胞培養系で再構築することである。本研究課題では、これを実現するための基盤技術として、細胞神経細胞の神経突起を任意方向に高効率で誘導するための液中表面改質技術を確立する。【研究成果】我々はこれまでに、酸化チタン(TiO2)薄膜の光触媒作用を活用することで、TiO2表面に成膜した有機シラン単分子膜を液中で分解し、細胞親和性を変化させられることを示してきた。しかしこの方法では接着阻害膜を分解した後に露出する領域の細胞親和性が低く、接着力の弱い初代培養神経細胞には適応が難しかった。そこで今年度、被改質領域の細胞親和性を高めるために、細胞外マトリックスタンパク質を露出したTiO2領域に吸着させるための実験条件を検討した。実験の結果、TiO2とタンパク質のリンカー分子を導入することで、効率的にタンパク質を固定できることが分かった。またその領域にラット海馬神経細胞をパターニングすることにも成功している。
2: おおむね順調に進展している
神経細胞を培養環境場で操作するための表面改質法の開発に向けて、要素技術が揃いつつある。
研究計画に変更はない。酸化チタンプロセスによる神経突起誘導の実現が次の課題である。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 3件)
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