研究課題/領域番号 |
25881005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
齋藤 光代 岡山大学, その他の研究科, 助教 (20512718)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋物理・陸水学 / 河川 / 地下水 / 栄養塩 |
研究概要 |
本研究では,淡水-海水混合域における栄養塩の輸送過程について,異なる河川流出強度下における定量的評価を行うことを目標とし,(1) 瀬戸内海の中でも特に閉鎖性の高い児島湾を主な対象に,塩分,酸素・水素安定同位体比(δ18O, δD)およびラドン(Rn-222)等をマルチトレーサーに用いた淡水由来栄養塩のインパクトゾーンおよび輸送経路(河川水および地下水経由)の推定を行うとともに,(2) 異なる栄養塩輸送タイムスケールにおける沿岸低次生態系の応答について検討を行う. 初年度であるH25年度は,主な研究対象地域である児島湾沿岸域において現地観測および採取試料の分析を実施するとともに,既存データ・文献の収集を行ってきた.その結果,平水時における河川由来の淡水フロントおよび植物プランクトンの空間分布等を確認することができた.また,沿岸域における河川水-地下水交流が栄養塩動態・低次生態系に及ぼす影響,および堆積物から水体への栄養塩供給等についても評価も行ってきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度であるH25年度は,主な研究対象地域である児島湾沿岸域において現地観測および採取試料の分析を実施するとともに,既存データ・文献の収集を行ってきた.よって,本研究の目的である河川の流出強度の違いにともなう栄養塩動態・低次生態系の変化を解析するためのデータセットが整いつつあり,概ね研究計画に沿って進展していると考えられる.但し,季節変化等の把握については更なる現地データの蓄積が必要であり,来年度も継続して観測および分析を行っていく.
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今後の研究の推進方策 |
(1)淡水由来栄養塩インパクトゾーンと栄養塩輸送経路の推定 ① 現地観測および試料分析:1年目に引き続き,主に児島湾沿岸域を対象とした現地観測および採取試料の分析を継続し,海水中の塩分,水温,溶存酸素(DO)濃度,クロロフィル,栄養塩濃度,δ18O・δD およびRn-222濃度の空間分布とその季節変化を確認する.また,児島湾流入河川水,児島湾に隣接する児島湖の湖水および沿岸地下水(地表水・地下水のエンドメンバー)も採取し,同様に成分の分析を行う. ② インパクトゾーンおよび輸送経路推定:①の結果から,淡水由来栄養塩インパクトゾーンの空間分布および季節変化の推定を行い,さらに河川水・地下水流出成分の寄与率の推定も試みる. (2)異なる栄養塩輸送タイムスケールにおける沿岸低次生態系の応答の検討 ① (1)の結果から,対象海域における植物プランクトンの現存量,空間分布および季節変化を明らかにする. ② 以上の結果に基づき,滞留時間の変化に対する植物プランクトンの応答について検討する.
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