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2013 年度 実績報告書

西日本における古代製鉄が植生に与えた影響

研究課題

研究課題/領域番号 25882028
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関京都府立大学

研究代表者

佐々木 尚子  京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (50425427)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード植生変化 / 完新世 / 人為の影響 / 古代製鉄 / 古代製塩 / 火事史 / 植生史
研究概要

初年度である今年度は、花粉分析・微粒炭分析等の古生態学的分析により植生変化および火事の歴史を明らかにするため、製鉄遺跡が多く分布する中国山地(島根県)および琵琶湖周辺地域(滋賀県東部)において、湿原堆積物を採取した。両地点において、過去およそ3000年間をカバーする堆積物が得られた。とくに中国山地の堆積物は過去の火事の指標となる微粒炭を多く含んでいるとみられる。
また、製鉄以外の古代産業の事例として、瀬戸内海島嶼部の製塩遺跡においても堆積物試料を採取し、花粉分析を実施した。この堆積物は、過去およそ2000年間をカバーするものである。花粉分析の結果、堆積物下部ではマツ属花粉が優占し、これにスギ属、ヒノキ科型などの針葉樹花粉、コナラ属コナラ亜属およびアカガシ亜属、クリ属/シイ属/マテバシイ属などの広葉樹花粉をともなう花粉組成が得られた。堆積物中層では、イネ科やヨモギ属などの草本花粉が増加する一方、マツ属花粉が減少し、コナラ亜属やヒノキ科型がやや増加した。堆積物上部では、イネ科花粉がさらに増加したほか、栽培植物であるソバ属やワタ属の花粉が検出された。これらの花粉組成の変化から、かつては森林であった調査地の周辺が、開けた環境に変化したことが示唆される。この変化と、隣接する製塩遺跡の操業時期との対応については、次年度に検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

分析補助等をおこなうリサーチアシスタントが予定どおりに雇用できず、当初予定していた堆積物の分析が十分に進められなかった。
その一方、製鉄遺跡だけでなく製塩遺跡においても堆積物試料を採取することができた。これにより、種類の違う産業の間で、森林に与える影響がどのように異なるのか、比較できる可能性が出てきた。この点は、予定外の成果である。

今後の研究の推進方策

今年度はリサーチアシスタントを雇用して、初年度に採取した試料の分析を積極的に進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Traditional Farming Landscapes for Sustainable Living in Scandinavia and Japan: Global Revival Through the Satoyama Initiative2014

    • 著者名/発表者名
      Bjorn E. Berglund, Junko Kitagawa, Per Lageras, Koji Nakamura, Naoko Sasaki, Yoshinori Yasuda
    • 雑誌名

      AMBIO

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1007/s13280-014-0499-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 湖沼堆積物の花粉組成はどの範囲の植生を反映しているか?GISを用いた湖沼堆積物中の花粉組成と周辺植生の比較2014

    • 著者名/発表者名
      佐々木尚子,林 竜馬,兵藤不二夫,槻木玲美,加 三千宣,牧野 渡,占部城太郎
    • 学会等名
      日本生態学会第61回大会
    • 発表場所
      広島国際会議場
    • 年月日
      20140314-20140318

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公開日: 2015-05-28  

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