研究課題/領域番号 |
25882030
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
守田 優子 東京医科大学, 医学部, 助教 (50710068)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 不眠症 / 運動 / 身体活動 |
研究実績の概要 |
高齢者には不眠症が多く、二次的に心身の健康を損ねる可能性があるため、その改善と予防は高齢者の健康状態の維持・増進において極めて重要である。不眠症の発現にはライフスタイルが大きく関与すると考えられており、中でも、適切な運動習慣は主観的および客観的な睡眠の質を改善することが報告されている。運動は、特に中途覚醒時間の減少効果が大きいことが知られており、高齢者に多い早朝覚醒型不眠症の改善には有効であると考えられる。本研究は、(1) 一般高齢者の睡眠に関する大規模疫学調査を実施し、不眠症状(入眠困難型不眠、早朝覚醒型不眠)の実態と身体活動量の関係を明らかにし、(2) (1)の調査結果をもとに、不眠症状を呈し、かつ、日常生活における活動量の少ない高齢者に対し、実施時間帯を考慮した運動介入を実施し、自覚症状評価による主観的睡眠感と睡眠脳波測定による客観的睡眠感に対する影響について検討することを目的とした。 平成25年度は、1627名(女性=782名)の高齢者を対象に不眠症状やライフスタイルに関する横断的実態調査を実施した。運動の強度に関係なく、週あたりの運動実施時間が150分未満の者に比して、150分以上の者は、入眠困難型不眠のリスクが0.7倍、週に300分以上の者は0.6倍であった。一方、早朝覚醒型不眠のリスクは日頃の運動量と関連しなかった。 平成25年度後半より、介入研究のプレ実験および本実験をスタートさせる予定であったが、横断調査の解析結果より、当初予測し得なかった結果が得られたため、プロトコルの精査および修正(検査内容や測定項目の妥当性の検討、運動の種類、運動量、時間帯の変更等)を行った。 次年度より介入研究を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
横断的次実態調査の解析結果より、当初予測し得なかった結果(運動量が、高齢者における典型的な早朝覚醒型不眠ではなく、入眠困難型不眠と強く関連したこと)が得られた。そのため、介入研究においては、入眠困難型不眠を訴える者も対象とし、入眠期の主観的・客観的睡眠評価を行う必要が生じた。入眠期は睡眠ポリグラフ検査以外に正当な評価法が存在しないため、ポリグラフ検査の実施が必要不可欠となった。睡眠ポリグラフ検査実施に係るプロトコルの精査・修正、検査実施場所の確保、被験者および験者の募集のため、当初の計画より2か月程進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
不眠症状を有する高齢者に対し、不眠症状のタイプ(入眠困難・早朝覚醒)別に、運動が睡眠に与える影響および適切な運動実施時間帯を明らかにするための介入実験を行う。 本実験では、入眠困難型不眠群、早朝覚醒型不眠群および健常コントロール群を対象とする(各群15名)。3群共にベースライン(運動なし)条件、朝運動条件(9:30から11:00に運動実施)、夕方運動条件(17:30から19:00に運動実施)の3条件を実施する。各条件下での夜間睡眠ポリグラフ検査から得られた客観的睡眠指標と、翌朝の自記式質問紙による主観的睡眠指標を比較する。 運動は、10分間のステップ運動4セットを含む90分間のセッションとする。いずれの条件でも実験日1週間前からアクチグラフで被験者の生活習慣を管理する。全被験者について全条件を実施し、条件の施行順序はカウンターバランスをとる。
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