運動は不眠高齢者における主観的および客観的睡眠感を改善すると報告されている。本研究は、高齢者における同症状の改善に最適な運動時間帯、ならびに症状別の運動効果の差異について検討した。疫学調査から、身体活動量の低下と入眠困難型不眠症状との関連が認められた。運動介入研究から、朝の有酸素運動は、夕方のそれに比して不眠高齢者の主観的睡眠感を改善させ、客観的睡眠指標においても睡眠の安定性を高めた。この効果は特に夜間後半でみられ、早朝覚醒群に比して入眠困難群で顕著にみられた。本研究より、朝運動は中高齢不眠の非医薬物療法として期待でき、その実施にあたっては、不眠症状のタイプも考慮すべきである。
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