研究課題
本研究は、タイ・アユタヤの大洪水を事例にして、主体間のリスク・コミュニケーションの欠如がアユタヤ島内への浸水を招いたとの問題意識のもと、ゲーミング・シミュレーションを利用したリスク・コミュニケーションの促進によって、多主体が受容可能な災害対策の意思決定を支援できる手法の開発を目的とした。ゲーミング・シミュレーションとは、災害を仮想体験し災害時や災害後の課題を経験することによって、自らがよりましな解を共同で発見することができる手法である。すでに開発した理論的フレームワークをもとに、本年度は、アユタヤにおいて地域住民ならびに地元商店主へのアンケートを実施し、彼らの2011年洪水による直接・間接被害額を明らかにした。さらに、観光庁アユタヤ事務所への聞き取りを通じて観光客数は洪水後比較的短期間で回復したこと、そして観光客へのアンケートを実施することによって、洪水の発生が彼らの観光行動に与えた影響などを明らかにした。これはゲーミング・シミュレーションにおける重要なインプットとなった。このように、実施するゲーミング・シミュレーションに必要なインプットを収集し、(商業主を含む)住民の属性を中心とした洪水の浸水高と被害の関係などの関係式を導くことができた。さらに、そのインプットを、開発したゲーミング・シミュレーションに実装することで、実際に運用できるゲーミング・シミュレーションの開発を行うことができた。今年度は手法の修正と精緻化が主な課題であったが、手法をコミュニティ防災という文脈のなかで、どのように位置づけていくか、効果を検証するために必要な指標などについても整理することができ、本ゲーミング・シミュレーションを地域コミュニティに導入する仕組みを全て整えることができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Regional Science, Policy and Practice
巻: 6 ページ: 231-249
10.1111/rsp3.12036
歴史都市防災論文集
巻: 8 ページ: 107-114