研究課題/領域番号 |
25882047
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 湘北短期大学 |
研究代表者 |
森崎 巧一 湘北短期大学, その他部局等, 講師 (30405724)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 印象評価 / デザイン |
研究概要 |
本研究は、研究代表者がこれまで実践してきた印象評価を用いたデザイン教育について、これを支援するためのツール「印象評価サポートツール」の開発を目的とする。 まず、「印象評価アンケートツール」と「印象評価データ分析ツール」をExcel VBAを用いて制作した。印象評価アンケートツールは、「一対比較法を用いたアンケートツール」「SD法を用いたアンケートツール」、印象評価データ分析ツールは「主座標分析ツール」「主成分分析ツール」「クラスター分析ツール」「判別分析ツール」である。多変量解析プログラムは、外部の研究者の許可を得て取り入れた。「クラスター分析ツール」「判別分析ツール」は、研究協力者と共同で作成した。 そして、本学の授業「情報デザイン」の中で、受講生に上記のツールの一部を活用させ、デザインの印象の調査と分析を行わせた。受講生は心理統計を必ずしも熟知していないが、調査には容易に取り組むことができ、そして分析結果を示すことができた。 さらに、調査と分析の目的から必要なツールへ誘導する「印象評価ガイドシステム」を作成した。これは印象の調査や分析を、手順を追って理解しながら進めていくためのもので、「特徴を掴む」「識別する」「分類する」のいずれかを選択して実行する。「特徴を掴む」は主成分分析、「識別する」は判別分析、「分類する」は主座標分析またはクラスター分析に対応している。これを用いることにより、心理統計の初学者でも印象評価に取り組むことが可能となる。「印象評価ガイドシステム」「印象評価アンケートツール」「印象評価データ分析ツール」を組み合わせ、「印象評価サポートツール(2013年度版)」として完成させた。 上記以外の実績として、芸術工学会誌論文「印象評価を用いたイラスト作品評価の検討」における主成分分析の箇所で本ツールを活用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、印象の調査と分析の作業を支援する「印象評価サポートツール」をExcel VBAを用いて制作した。印象評価サポートツールは大きく分けて、「印象評価アンケートツール」と「印象評価データ分析ツール」があり、前者は、「一対比較法を用いたアンケートツール」「SD法を用いたアンケートツール」、後者は「主座標分析ツール」「主成分分析ツール」「クラスター分析ツール」「判別分析ツール」によって構成している。印象評価サポートツールは、調査対象の画像を取り込み、それを用いてアンケート調査用シートや分析結果の図をビジュアルに表現することができる。また、ツール上のほとんどの作業は、分かりやすく対話的にしている。 本学の授業「情報デザイン」の受講生を対象に、印象評価サポートツールの活用実験を試みた。学生に製品やキャラクターなどのデザインの調査と分析を行わせたところ、全ての受講生が容易に調査と分析に取り組むことができた。受講生からは「結果が視覚的に分かりやすい」「取り組みが面白い」などの感想が多かったが、「現在何の調査・分析を行っているのか分からない」という意見もあった。これは作業を効率化、簡略化したことによる問題で、求めたい結果と調査・分析方法が繋がっていないためであると考えられる。これを解決するために、「特徴を掴む」「識別する」「分類する」という調査・分析の目的から適切な調査・分析の方法に誘導する「印象評価ガイドシステム」を提案し、これを作成した。 印象語の提供機能、印象特徴の解釈支援機能については本年度のツールには実装できず、次年度への課題として残されたが、以上のように開発と評価実験を行い、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、サーバーサイドプログラムを用いた「印象評価サポートツール」の完成を目標としている。これにより、Webネットワークにつながる多くの端末で印象評価の調査や分析が可能となる。本研究を遂行するためには、複数の協力者と連携した研究体制が必要であり、本学のICT担当者及び外部の専門家(Webプログラミング、インタフェースデザイン、心理統計についての各専門家)と定期的にミーティングを行い、連携して開発を行っていく。なお、本学では本研究のメーリングリストを作成し、既に複数の研究協力者と連絡を取り合いながら研究を進めている。 また、前年度の課題(印象語の提供機能、印象特徴の解釈支援機能)について、心理統計の専門家と連携しながら進めていく。また、「印象評価ガイドシステム」に、前年度に導入していないかった「予測する」ための分析法(重回帰分析)を「印象評価データ分析ツール」に加える予定である。そして、「印象評価サポートツール」は、研究代表者と協力者と共同しながら制作したため、両者に若干のデザイン的な差異があるため、インタフェースデザインの統一を行って利用者が扱い易いように変更する。 さらに、デザイン教育での実践事例として、本学のデザイン系や美術系の担当教員に協力が得られる予定である。例えば、デザイン系では、イラスト制作と評価に本ツールを活用する予定である。また、美術系では、彫刻の評価に本ツールを活用する予定である。
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