使用者の姿勢と接触圧力を制御する身体支持手法を実現するにあたり,解析的に解くことが困難であった姿勢と接触圧力分布制御を実現するために,本年度は,1.目的姿勢における人体の体圧分布計測を行い,2.体圧分布と接触面形状の関係を導出した.3.それらから目的姿勢での体圧分布曲面の導出法を構築し,4.実際にその体圧分布曲面を作製し,被験者実験を行うことで目的姿勢と体圧分布を実現できることを示した. 1.目的姿勢における人体の体圧分布計測は,接触圧分散を必要とする障害者においても実現可能とするよう,特殊で困難な計測要件を排除した条件で行った.介護用マットレスに仰臥位を取り,接触圧力分布計測装置による体圧分布を計測した.その際,4.において目的姿勢との比較をするため姿勢計測も同時に実施した. 2.体圧分布と接触面形状の関係を皮膚の弾性とマットレスの弾性から目的姿勢における皮膚変形量を推定した. 3.複数条件での圧分布から皮膚の弾性分布を推定する手法を提案し,それを用いて姿勢を変えずに接触圧力分布を均一化するために皮膚表面形状を算出した. 4.皮膚表面形状とマットレスの推定変形量から身体の支持曲面形状を導出し,三次元造形機により実現した.作成した曲面を接触面に置き,1.の姿勢および体圧分布と比較し,目的姿勢を保ったままの目的体圧分布実現を確認し,本研究の目的を達成した.
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