皮膚感覚が乏しく,自力での体位変換が困難な高齢者や障害者は,褥瘡発生リスクが高い.褥瘡は一度発生すると治癒しにくく日常生活にも支障を来す.そこで,本研究は,臨床現場で実用可能な計測手法を用いて,使用者の姿勢を変えず接触圧力を褥瘡発生リスクの低い状態を保つ三次元曲面を生成する手法を提案し,それを三次元加工機により作製した.その結果,プラスチックのように固い素材であっても適切な三次元形状を形成することで介護用マットレスと同等の体圧分散効果が実現できることを示した.これにより,福祉機器に使用する素材の制限を緩和し,人体に侵襲の少ない効果的な機器実現への道を拓いた.
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