本研究では,酸化反応の熱的危険性を適切に評価するために,熱分析に供するための試料容器と酸化物との反応により生成する金属イオンおよび金属微粒子による酸化反応挙動への影響を検討した.対象は3級ピリジン樹脂の硝酸による酸化反応とした.研究の結果,試料容器と酸化剤との反応により生成し,試料容器から脱離した鉄酸化物により,測定対象物質の発熱開始温度及び発熱量の測定に影響を及ぼすことが分かった.また,適切な厚みのガラス容器の試料容器への挿入によって,鉄酸化物を試料に混入することを防止することより,適切な熱的危険性評価ができる可能性を示した.
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