本研究課題では,重度感覚麻痺を有する脳卒中片麻痺患者のマニピュレーション能力の向上を目指した感覚フィードバック装置SENSの開発とその有効性の検証を進めてきた.平成26年度の成果は,以下の2点に集約される. 1点目は,携帯型システムの開発である.現在の提案装置SENSは,ノートPC,AD/DC変換,スティミュレータ,アイソレータなどから成り,大掛かりであるため,病院または研究室以外での使用が困難である.そこで,痛みを感じない,筋肉を収縮させない,指先の圧力に応じた刺激の変化を感じることができるなどいくつかの条件を定め,平成25年度に引き続き,それらを満たすような電気刺激のパラメータの選定を行った.さらに,決定した電気刺激パラメータをマイコンに搭載し,携帯型電気刺激装置(10×7×3cm)を構築した. 2点目は,多症例でのSENSの有効性の検討である.これまで1名の重度感覚障害を有する脳卒中患者に対してSENSを用いた訓練を実施したが,新たに3名の脳卒中片麻痺患者にSENSを用いた物体把持訓練を実施し,どのような症状の患者に対してSENSを用いた訓練が有効であるか等の検討を行った.
|