研究課題/領域番号 |
25883002
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐原 彩子 東京大学, 総合文化研究科, 特任研究員 (70708528)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | アメリカ研究 / 冷戦文化 / 難民・移民史 |
研究概要 |
(1)研究発表:日本アメリカ史学会の年次大会で発表を依頼され、2013年9月21日立命館大学において開催されたアメリカ史学会大会シンポジウムA 「『移民の国』アメリカ合衆国における非自発的移動」で、「『再会の地』アメリカ:ベトナム難民の再会をめぐる語りとその政治的意味」というタイトルで発表した。また、11月9日国際シンポジウム「それぞれの戦後―アメリカとベトナム」では、「冷戦政策としての人道主義:70年代後半からのアメリカのインドシナ難民救済活動」というタイトルで発表した。 (2)論文:イギリスのMary Queen大学のDenise Silva編集によるRace, Law, and the Postcolonial Handbookへ原稿を2014年3月に送付した。また、2014年4月発行の「アメリカ太平洋研究」に2013年11月のシンポジウム発表が掲載された。 (3)研究発表のための応募:2013年度は2014年10月ミネソタ大学Southeast Asian Studies in Diasporaと 11月ロサンゼルスで開催される American Studies Association年次大会に報告の申し込みが認められた。 (4)史料調査:バイヤード・ラスティンの自伝など入手し、文献調査を行なった。また、2014年3月5日から14日にボストン大学で史料調査を行い、リオ・チャーンが、どのようにインドシナ難民受け入れに深く関わるようになっていったのか詳しい経緯が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているのは、合衆国におけるインドシナ難民救済ロジックがなぜおよびどのように立ち上がったのかについて、文献および史料調査等によって明らかになったからである。これは今回の研究プロジェクトにおいて重要である。しかしながら、そうした救済ロジックがどのようにして国際的な救済システム形成につながったのかについては、更なる史料調査などが必要であると考えられる。2013年度の研究によって、リオ・チャーンとバイヤード・ラスティンの関係が非常に深いものであり、アメリカ史における冷戦文化と公民権運動との関係を広い視野で考察する必要性を認識した。これについては、黒人史の理解を深めつつ、ベトナム戦争後のアメリカ社会をどのように理解するのか、アメリカ史への深い理解を欠かすことができない。 また、研究の方向性として研究発表から多くを学んだ。アメリカ史学会例会において、合衆国における救済ということの意味を広い視野で考察することの重要性を確認する意義深い会となったことは、難民史および難民研究というものを考察することを助けた。加えて、アメリカ史学会大会シンポジウムでは、立命館大学米山裕氏、同宮下敬氏と登壇し、コメンテーターの名古屋市立大学山本明代氏、北海道大学村田勝幸氏両氏より、移民や難民をめぐる移動に関する言説がアメリカにおいて立ち上がる際の政治性について、さらに深く考察する視点が提供された。また、シンポジウムにおいても、聴衆も加えて、活発な質疑応答が展開され、研究を進める指針が出来た。以上のような発表の機会によって、移民・難民史と冷戦史の関係について分析していく視座が深められた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究発表:2014年10月と11月にアメリカにおいて研究発表の予定があり、渡米する予定である。研究協力者であるカリフォルニア大学サンディエゴ校のYen Le Espiritu教授と研究についてのアドバイスなどを受ける予定である。 (2)論文:2014年秋に発行される予定のアメリカ史学会学会誌に投稿しており、審査中である。 (3)史料調査:International Rescue Committee史料がスタンフォード大学にあるので、夏に史料調査を計画している。 (4)ブックプロポーザル:研究成果をまとめて、2015年3月には、ブックプロポーザルを提出したいと考えている。
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