研究課題/領域番号 |
25883003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王 柳蘭 京都大学, 白眉センター, 准教授 (50378824)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 越境 / 宗教と民族 / 共生と葛藤 / タイ / 日本 / 華人社会 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は異文化接触にともなう文化・民族間の調和や共生をキーワードに、アジアにおける中国系ディアスポラを対象に多面的に研究していくことであった。初年度の目的は、タイ、中国、台湾に越境してコミュニティを形成している中国系ムスリムについて、宗教実践と共同性の構築について明らかにすることにあった。研究成果としては、タイ北部における中国系ムスリムと他民族との共生関係の動態は、宗教施設(モスク)や宗教学校を軸に、南アジア系ムスリムとの接触と相互作用のなかでイスラームの覚醒をともなう形で展開していることが明らかになった。また台湾においては、タイ北部から中東諸国への留学組みがあらたに台湾ムスリム社会のリーダーとして求められていること、宗教を軸に彼らのネットワークが構築されつつあることが明らかになった。移民と宗教が生み出すコミュニティや共同性の構築プロセス、他者との共生について、初年度は、タイと台湾における民族間関係を通して実証的に研究を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではアジアにおける中国系移民、共生と宗教実践をテーマに、フィールドワークにもとづいて2つの目的を2年の間に設定した。一つはすでに長期調査の蓄積がある東南アジア大陸部における中国系イスラーム社会に関する宗教実践の実態を明らかにすることでああった。二つ目は、萌芽的な研究として日本を対象にしたキリスト教社会における宗教実践のありかたを明らかにすることであった。今年度は、前者についてはおおむね順調にすすんでいる。後者については、神戸における華人キリスト教社会での予備調査を開始することができ、順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の展望としては以下の2点を挙げることができる。第1は、イスラーム社会におけるハラールの実践と共同性構築との関係性を他民族との比較を通じて進めていくことである。第2は、キリスト教系華人社会の宗教実践の動態を日本において引き続き継続調査を行い、他地域に住む華人キリスト教徒についても視野にいれた研究を実施していくことである。
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