研究概要 |
本年度は、日英両帝国間の廃娼運動の人的交流についての資料調査を進め、それと並行して、「越境」とジェンダーに関わる理論的整理を行った。 資料は、主に、イギリス・ロンドンのLondon School of Economics and Political Scienceの図書館とthe British Libraryで収集した。今回の調査によって、国際的廃娼運動のネットワーク形成の中心的役割をになったイギリスから、日本へ廃娼運動家が派遣された経緯と、その来日前後の動向に関わる資料を得ることができ、日本の廃娼運動史を世界史的に把握するための手がかりを得た。 また、本研究をスタートさせる前から進めていた予備的調査に基づき、女性史の国際学会(International Conference ‘Women’s Histories: the Local and the Global’, International Federation for Research in Women's History & Women's History Network, Sheffield Hallam University (UK), 29 August - 1 September 2013)において、 "The Influence of British Movement against Licensed Prostitution upon Japanese Society in the Meiji Era (1868-1912)"と題する研究発表を行った。 「越境」とジェンダーに関わる理論的な整理の成果としては、「〈帝国=家庭〉の「外」に人の暮らしを見いだすということ(特集「越境と文化」)」(『日本学報』大阪大学大学院文学研究科日本学研究室、第33号、pp.79-82、2014年3月)を発表した。
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