本研究では、帝国日本における買売春の法的規制をめぐる思想がどのように形成されたのかを、イギリス帝国の廃娼運動との関係に着目して調査した。廃娼運動の国際的ネットワークの形成期にあたる19世紀末から1920年代にかけて、救世軍やWWCTUがこのネットワークの形成のために果たした役割を重視して、どのような思想的影響関係があったのかを明らかにした。 日英間で、互いの情報がどのように伝わっていたのかということと、その情報の伝達にWWCTUがどのように関与したのかを、イギリスとアメリカで得た史料からたどり、買売春の法的規制についての日英間の考え方の相違が生じた原因について考察した。
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