平成26年度は8月27日から9月7日にかけてインド・アッサム州において第1回目の現地調査を行った。前年度にセットアップしたナガオン県のムスリム移民居住村落にて、雨季の生業観察と生業と自然環境に関する聞き取り調査を行った。ノウゴン女子大地理学科助教のサマルジット=ウジャ氏の協力を得た。 9月以降はこれまでに入手したデータを国内で分析した。アッサム州のブラマプトラ渓谷では在来のヒンドゥー教住民とムスリム系移民の居住地がローカルな生態環境に応じて分かれており、生態環境の差に応じて生産性の全く異なる生業が営まれていることが明らかになった。その成果は国内と国外で開催された学会で報告した。 さらに12月29日から平成27年1月4日にかけてインド・アッサム州において第2回目の現地調査を行った。今回はムスリム移民村落の近傍にある、ヒンドゥー教徒のアホミヤ居住村落を訪問し、乾季の生業形態を観察するとともにムスリム住民との関係について聞き取り調査を実施した。その結果、従来の研究では対立関係が強調されてきたムスリム住民とヒンドゥー教住民も、個人レベルでは協力的な関係にあることが明らかになってきた。その背景には生業の差に起因する生産物の交換があることが分かった。 これらの成果はアッサム州のゴウハティ大学で開催されたインド地理学会(Indian Institute of Geographer)で報告された。そのために2月23日から3月7日までインドに滞在した。また調査地にあるノウゴン女子大学でも学生相手にセミナーを開催した。今後はこれまでの成果を論文にまとめ、学術雑誌(査読付き)に投稿する予定である。
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