20世紀の南部アフリカにおける人の移動と国家の介入には以下の特徴があることが明らかになった。第一次世界大戦前および戦時は各宗主国による領域支配を確定するために生じた境界付近の紛争が要因となり、非正規移民が生じたのち、戦後は従来の非正規移民の一部が国家の支配下で正規移民として移動することになった。第二次世界大戦後については、戦中の南アフリカ経済の多角化に伴い、従来の基幹産業であった鉱山業で移民労働力の需要が高まり、それに応じるべく南部アフリカ全域で従来の非正規移民の受け皿ともなる労働力調達のネットワークが再編されたことが明らかになった。
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