多様な樹木利用に特徴づけられる在来農業がみられるインドネシア東部マルク諸島を事例に、アーボリカルチャーを媒介として生み出されている人間と野生動物の相互関係に関する調査の結果、農林業など自然生態系に直接働きかけて生物資源を収穫・利用する場と生き物が生息する場が歴史的に重なり合っていることを認めた上で、特定のいきものや地域、といった人間から引き離された対象をまもる旧来型のアプローチではなく、人と「自然」との「望ましい」相互関係をまもることを焦点化した、新しい保全のあり方を模索する必要があることが明らかになった。
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