一年半の研究期間の中で、天文五行占書を所蔵する国内外の機関を中心に、調査を実施し、テキストの伝存状況を把握すると共に、六朝から清朝までの勅撰系の天文五行占書の流れを整理することが出来た。また、民間占書との比較から、両者の比較の性格の相違も明らかとなった。勅撰系天文五行占書は、儒教理念を下敷きとしており、鬼神の祟りや呪術による凶兆の回避などはあまり言及されない。それに対し、民間占書では、鬼神の祟りや呪術による対応が豊富に説かれる。その他、調査では、勅撰占書と民間占書の中間に位置付けられる非勅撰系の天文五行占書の伝本も見つかっており、その成立背景や社会的意義の解明が今後の課題として見えて来た。
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