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2014 年度 実績報告書

近世日本における初学教育の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25884004
研究機関東北大学

研究代表者

高橋 恭寛  東北大学, 文学研究科, 研究員 (70708031)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード日本思想史 / 近世教育史 / 初学者教育
研究実績の概要

本研究では、「朱子学」における初学教育書『小学』を江戸期の儒者がどのように用いようと試みたのか、その意識の解明を試みたものである。
江戸前期から通してみていったとき、17世紀のうちには儒書の出版に力を入れていた中村惕斎や貝原益軒による『小学』の刊行をはじめとして、教訓的仮名草子の普及など、道徳教育用のテキストの普及からはじまった。『小学』の積極的利用は、山崎闇斎が『大和小学』を著して自らの学問に組み込んだように、とりわけ闇斎学派の儒者にみることが出来る。とりわけ闇斎高弟の三宅尚斎が私塾において、庶民教育の書として『小学』を導入した。さらに18世紀半ばになると尚斎門下の蟹養斎が、『小学』から『大学』へと至る理論背景について考察・説明し、具体的な実践として理論化を試みているのである。また蟹養斎と同時期、闇斎学派以外の「朱子学者」の河口静斎が、『小学』について論じている。古文辞学派の太宰春台が朱子学批判の一端として『小学』を批判しており、静斎はそれに反駁していたのである。春台は、内容的に「童子の学」ではないことを批判する。『実語教』や『三字経』など、童子向けの往来物や教訓書などが読まれるようになるなか、主に漢籍の抜萃によって成り立っている『小学』は、子供向けの書として難度が高いのは明らかである。ただ、春台の批判に対して静斎は、そもそも「子供向け」では無い点を批判し、「終身の学」であると主張した。この様に、江戸中期において蟹養斎や河口静斎によって『小学』は単に童子向けの書物としてではなく、儒学教育の書として理解されるようになり、江戸後期に至って藩校教育などにおいて、儒教経典の一つとして教科書的に用いられるには、このような具体的な実践への考察を踏まえてのものであったことが明らかとなった。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 蟹養斎における『小学』理解から見た初学教育への視線2015

    • 著者名/発表者名
      高橋恭寛
    • 雑誌名

      道徳と教育

      巻: 333 ページ: 3-15

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 蟹養斎『勧学』からみた初学教育の焦点2014

    • 著者名/発表者名
      高橋恭寛
    • 学会等名
      「多文化視野の中の日本学」フォーラム
    • 発表場所
      中国・山東大学中心キャンパス知新楼
    • 年月日
      2014-09-20 – 2014-09-20
  • [学会発表] 蟹養斎の『小学』利用のかたち2014

    • 著者名/発表者名
      高橋恭寛
    • 学会等名
      日本文芸研究会第66回研究発表大会
    • 発表場所
      東北大学川内南キャンパス
    • 年月日
      2014-06-14 – 2014-06-15

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公開日: 2016-06-01  

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