本研究は、日本中世の美術を中心に、そこに描かれた図像的な意味とともにそれらが享受された空間について、同時代の歴史、文学、芸能史などを視野に入れた横断的な研究を行った。特に、西欧のタブローとは異なる形態を持つ東アジアに特徴的な屏風絵作品がどのような空間においてどのように享受されていたのか、さらにはどのような機能を担っていたのかを、同時代の文献資料や絵画資料から明らかにすることを目指した。具体的には、物語を絵画化した近世初期の屏風絵作品を始め、中国、朝鮮半島を経由して日本に伝来した「耕織図」の受容、さらに江戸末期から明治初期にかけての日本画について研究を行った。
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