本研究は、イギリス植民地政策の要であった新地税制度(ライヤットワーリー制)の導入と影響を、1836年にインド西部で同制度が最初に導入されたインダプール郡を事例に考察した。本研究は、前植民地期の18世紀後半から第1次大戦勃発直前の20世紀初頭を対象とし、同制度導入の経緯とその影響を長期変動の中で分析した。新地税制度の導入過程を、地理情報システム(GIS)を用いて可視化し、背景に牧草地から耕作地への土地利用の大きな変化があったことを見出した。新制度の影響に関しては、新制度導入と関連する鉄道敷設が、流通・交易・移動などの空間利用の在り方を変化させ、在地経済を衰退させたことを示した。
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