本研究は、紀元前6世紀から紀元4世紀までの小アジア西部から出土した韻文のギリシア語墓碑銘を調査し、ギリシア人が個々の死のプロセスや死因(病死、戦死、産褥死など)にたいしてあらわした感情(悲しみ、怒り、誇り、喜びなど)と、その感情を表現する際に用いた戦略を明らかにすることを目的とした。具体的な手順としては、まず小アジア出土の韻文銘文を網羅した Steinepigramme aus dem griechischen Osten を分析し、データベースを作成した。次に、このデータベースから死のプロセスを詳細に描いた銘文を抜き出し、ヘレニズム期・ローマ帝政期の社会・政治状況との関連を明らかにした。
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