先秦時代の一次資料(新出土簡牘)には、経書関連文献や、古代聖賢の言行を記す文献が散見する。本研究では、主に南方の楚地域との関連が指摘されている「清華大学蔵戦国竹簡(清華簡)」を研究対象とし、そこに含まれる経書関連の佚篇や逸詩を中心に検討した。その結果、清華簡が多くの経書を引用して解釈しつつも、伝世文献とは異なる、独自の思想や表現方法をも併せ持つものであったことを明らかにした。 本研究は、従来、資料的制約のために窺うことのできなかった先秦期における経書の受容や変遷を究明する上で、重要な足掛かりになるものと考える。
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