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2013 年度 実績報告書

近世ベトナムにおける中間権力層の地域史的検討

研究課題

研究課題/領域番号 25884043
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関大阪大学

研究代表者

上田 新也  大阪大学, 文学研究科, 研究員 (00713538)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワードベトナム / 近世史 / 地域史 / 中間権力 / 村落文書
研究概要

本研究では17世紀後半から18世紀初頭に徴税請負人として活動していた界際社の張曰貴なる人物を事例として黎鄭政権期の地域社会に中間権力層を位置付けることを試みる。このため現地調査では主として2つの調査目標を設定する。第一に張曰貴の出身村落を中心に現地調査を実施し、彼とその一族についての史料・現地情報を収集する。第二に調査範囲を周辺村落にまで拡大し、古地名の収集と19世紀初頭の土地台帳を照合し、出身集落も含む地域社会における農業開発や土地集積の進展状況、村落の自律化などを多角的に検討する。この他、漢籍を収蔵するハノイの文書館において関連史料を収集する。
これらの目的を達するため、平成25年度には、張曰貴のゆかりの土地である、バクニン省のマンサー村及びゾイテー村において野外調査を行った。調査地には張曰貴の子孫や、彼に関連する碑文なども残っており、これらを撮影した。いくつかの一族については村を出た人物が家譜を所持しているなどの理由により、家譜を閲覧することが出来なかったが、これらについても平成26年度の夏期の調査時に再訪したときには、閲覧させていただけることになっている。また、これと併せてハノイの第1国家公文書館において調査地及びその周辺の地簿を複写し、調査地において19世紀の地簿における小地名と現代の地図との照合を行った。これも集落により地名の残存具合はかなり異なっている模様ではあるが、概ね19世紀の土地利用状況を明らかにすることができた。平成26年度夏期の調査では、当初の予定通り、調査対象地域を周辺集落にまで拡大する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

野外調査における史料の収集状況や19世紀地簿と現在の地図との照合も概ね予想通りの進展状況である。特に碑文や地方文書については、かつての現地の政治状況を反映して、歴史史料の破壊・隠滅等が行われている可能性を危惧したが、調査したかぎりではそのようなことはなく、概ね史料残存状況は良好であり、現地の地方幹部も学術調査には協力的であるため、野外調査は予定通り進捗している。

今後の研究の推進方策

今後の方針としては、平成26年度夏期の野外調査を実施し、調査集落におけるさらなる史料の収集を行うと同時に、地簿を利用した調査に関しては調査範囲を拡大し、地域全体の堤防網の形成状況や集落の成立・拡大の時期などについても明らかにする必要がある。これらを通じて張曰貴と地域社会との結びつきを明らかにしつつ、近世ベトナムにおける武人政権出現の社会的背景について考察する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ベトナム・フエ近郊の村落社会と親族集団の形成-18~19世紀タインフオック村の事例-2014

    • 著者名/発表者名
      上田 新也
    • 雑誌名

      東洋史研究

      巻: 72巻1号 ページ: 100-136

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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