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2014 年度 実績報告書

19世紀末イギリスの進化社会理論における〈機会の平等〉概念の展開

研究課題

研究課題/領域番号 25884051
研究機関釧路公立大学

研究代表者

藤田 祐  釧路公立大学, 経済学部, 講師 (90710830)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード思想史 / 西洋史 / ヴィクトリア時代研究 / 進化社会理論 / 社会進化論 / リベラリズム / 社会主義 / 機会の平等
研究実績の概要

平成26年度は、ウォレスの進化社会主義における〈機会の平等〉という理念の位置づけと比較しながら、ベンジャミン・キッドの社会進化理論における〈機会の平等〉概念を分析した。特徴的なことは、両者とも〈機会の平等〉をダーウィンの進化メカニズムと結びつけている点である。キッドは機会の平等が実現していくことで生存競争の裾野が広がり、競争が苛烈になることでますます社会進化が進展すると論じている。一方、ウォレスは、機会の平等を生存競争を通じて人間性が進化する前提条件ととらえ、機会の平等を実現するために土地国有化を中心とする社会改革を求めた。このように、ウォレスとキッドがどのように〈機会の平等〉と進化のメカニズムを結びつけているかを分析し、両者の理論における〈機会の平等〉の位置づけがどのように異なるのかを明らかにした。
また、キッドの社会進化論において、人口という概念がどのような機能を果たしているかを分析した。キッドは、人口増加の圧力が社会進化の原動力だと考えるとともに、人口増加を社会進化の結果とみなしている。また、人口増加の圧力があるため平等社会は不可能だと論じ、人口理論を武器に社会主義を批判している。このような分析を通じて、キッドの社会進化論において人口が重要な機能を果たしていることを明らかにした。
19世紀終わりから20世紀初頭にかけての新聞や雑誌などの調査では、キッドが『社会進化』を出版する前から、そして出版した後も、社会主義者たちが〈機会の平等〉という理念を提起していることが明らかになった。
この調査結果から、〈機会の平等〉という理念が社会主義からニュー・リベラリズムに取り入れられる過程で、進化社会理論が一定の役割を果たしていたという仮説が導き出される。しかしながら、この仮説を論証するためには、更なる思想テクストの分析と新聞や雑誌における言説の分析が必要である。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 〈社会ダーウィニズム〉研究とベンジャミン・キッド『社会進化』2015

    • 著者名/発表者名
      藤田祐
    • 雑誌名

      釧路公立大学紀要 人文・自然科学研究

      巻: 27 ページ: 51-67

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ベンジャミン・キッド『社会進化』と人口2015

    • 著者名/発表者名
      藤田祐
    • 雑誌名

      マルサス学会年報

      巻: 24 ページ: 159-184

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 19世紀末イギリスの進化社会理論における〈機会の平等〉概念の展開――ベンジャミン・キッドの社会進化論とA・R・ウォレスの社会主義における位置づけ2015

    • 著者名/発表者名
      藤田祐
    • 学会等名
      日本イギリス哲学会第39回研究大会
    • 発表場所
      甲南大学岡本キャンパス
    • 年月日
      2015-03-29
  • [学会発表] ベンジャミン・キッド『社会進化』と人口2014

    • 著者名/発表者名
      藤田祐
    • 学会等名
      マルサス学会第24回大会
    • 発表場所
      関西大学千里山キャンパス
    • 年月日
      2014-06-28

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公開日: 2016-06-01  

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