第一に、現埼玉県東部にひろがる各市町村の文化財課および資料館・博物館を訪問し、自治体が刊行している自治体史や史料集・史料目録・文化財調査報告書などの収集を行った。またあわせて、職員の方々に史料の残存状況などのヒアリングをおこなった。またそれと並行して、研究フィールドを実際に訪ね、集落の現状や景観を確認し、寺社等に残る金石文などを確認した。 第二に、埼玉県立文書館に収蔵されている関係史料、具体的には『下総国葛飾郡上金崎村土生津家文書』・『同国同郡西宝珠花村中川家文書』を中心としたいくつかの文書群について、閲覧・写真撮影をおこなった。またあわせて、その周辺地域に伝来した史料の目録をたぐり、本課題に関係しそうな史料の発見につとめた。 第三に、上記により収集した刊行物・史資料を読み込み、課題である「家守小作」について研究の現状を確認し、今後分析をすすめていく方向性の検討を行った。「家守小作」をはじめとする当該地域に独特な土地制度については、近世初期に大規模に展開した新田開発と関係していることが先行研究などからほぼ明らかであり、開発が社会に与える影響という文脈のなかで議論を展開することができるのではないかとの見通しをもつにいたった。 第四に、上記の見通しのもと、関東地域における開発に関する先行研究の収集・確認を行った。またあわせて、自身がこれまで分析を続けてきた『武蔵国入間郡赤尾村林家文書』についても、開発とその影響を分析できないか検討をおこない、史料の閲覧・撮影をおこなった。 以上のすべてについては、次年度以降も継続して研究を行っていく予定である。
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