研究課題/領域番号 |
25884059
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
今野 裕子 上智大学, 言語教育研究センター, 講師 (10707623)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 移民史 / 漁業史 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本における出移民研究とアメリカにおける入移民研究双方の視点から、戦前北米に渡って共同体を形成した日本人漁民の足跡を辿り、その太平洋漁業における役割を明らかにすることであり、具体的には、戦前の和歌山県南部地方を中心とする日本の沿岸地域からアメリカのカリフォルニア州へ出稼ぎ移民として渡り、北米漁業にとって欠かせない存在となりながらも、日本人排斥の対象となった漁民たちの社会史を、聞き取りや公的文書、統計やアーカイブ史料などを中心に再構築することであった。 この目的に沿い、平成25年度は国内外で調査を行った。アメリカ合衆国カリフォルニア州ではサクラメントの州立公文書館や図書館で外国人漁師のライセンスに関する史料や、日系漁業者関係の新聞記事を調査し、当局や世論の日本人漁師に対する関心や敵意を裏付けることができた。ロサンゼルスではエスニック漁業者間の連帯を裏付ける労働史関係史料を収集したほか、戦前日本人ばかりの漁村が存在したターミナル島に住み実際に漁師をしていた人物から聞き取りを行った。また、ターミナル島の日本人コミュニティに住んだことのある人々とその子孫が成員となるターミナルアイランダーズ・クラブの会長や、戦後和歌山県太地町から移住した人物にもインタビューを行った。これらの聞き取りから、当時の生活の様子ばかりではなく、人々の記憶に残るターミナル島の意義についても明らかにすることができた。さらに、バークレーにおいて、日系人収容関係の史料を集め、収容所の中まで持ち込まれたターミナル島人としての誇り、漁師としてのアイデンティティの強さを確認することができた。 和歌山県太地町の調査では、地元の歴史家や学芸員と情報交換を行ったほか、移民が残した建築や寺への寄付を記した名札など、現代に残る痕跡を調査した。人々の記憶に残る海外移民の歴史について今後さらに考察を深めてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展していると言える。なぜなら、統計や公文書館史料など大方の資料は入手でき、あとは追加で取りこぼしたものを収集する予定だからである。聞き取りももう少し行う予定ではあるが、現状の聞き取りだけでも成果をかなりまとめられるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
長期休暇を利用し、再びロサンゼルスを中心として取りこぼした史料を集める。また、モントレーにも足を運び現地調査を行う予定であるが、あくまでも既に相当量の資料が集まり、成果をまとめるのに適したロサンゼルスの事例を中心に、手薄な部分を肉付けする方向で調査を進めてゆきたい。
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