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2014 年度 実績報告書

上古中国語の文法化・意味変化の諸相―出土文字資料を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 25884063
研究機関二松學舍大學

研究代表者

戸内 俊介  二松學舍大學, 文学部, 講師 (70713048)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード上古中国語 / 文法化(grammaticalization) / 出土資料(甲骨文・金文・楚簡) / 非現実(irrealis) / 于 / 而 / 其
研究実績の概要

本研究は上古中国の機能語が文法化によってどのように成立したのかを、出土・伝世資料双方を用いつつ検討したものである。文法化は上古中国語研究の一大関心事であるが、その研究は従来、統語的機能面の検証に重きが置かれてきた。しかし現在、上古の機能語については具体的な意味や談話機能も判明しつつあり、このような現状を踏まえ本研究は、これまで看過されがちであった機能語の具体的な意味や談話機能に着目しつつ、個別の事例として「于」「而」「其」の3つを取り上げ、個々の機能語に対する意味的談話的分析の結果を、文法化研究という文脈に取り込みつつ、文法化の事例としてより高度に一般化することを目指した。「于」と「而」については昨年度までで完遂しており、本年度は「其」の殷代から戦国時代までの展開に焦点を絞って研究を遂行した。
「其」はもともとは、命題内容を非現実のものとして語るirrealis markerであると考えるのが本研究が結論である。「其」の殷代甲骨文から戦国時代の各種用法はいずれも非現実という視点を通して説明できる。例えば、「其」は甲骨文では望ましくない選択肢をマークする成分とみられてきたが、これは話し手が「其」を用いて望ましくない事態を現実から切り離すことで、その実現を遠くに位置づけようとする感情によるものだと考えられる。また、春秋戦国時代に見える、「其」の意志・命令・推量・仮定・反語といった各種意味も非現実事態として解釈できる。
さらに、「其」は殷代から戦国時代にかけて緩やかながらも意味的変化が起こっていることも判明した。例えば、西周時代の資料では「其」は単純に話し手から見て当該事態の実現が直近ではないことを表す成分であったが、春秋戦国時代では、politenessなど語用論的意味を帯びている。
本年度は以上の内容を博士論文(課程博士)としてまとめ、提出するに至った(提出機関:東京大学)。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「研究の着想に関する回顧録」2014

    • 著者名/発表者名
      戸内 俊介
    • 雑誌名

      『二松學舍大学人文論叢』

      巻: 93 ページ: 88-90

  • [学会発表] 『清華大学蔵戦国竹簡』(参)『皇門』を読む(下)2014

    • 著者名/発表者名
      東京大学古文字読書会(戸内俊介 野原将揮 海老根量介 宮島和也)
    • 学会等名
      上博楚簡研究会(「漢字文化研究会」(平成26年度科学研究費補助金(基盤研究(B))定例研究会)第68回研究会
    • 発表場所
      日本女子大学
    • 年月日
      2014-07-19
  • [学会発表] 「清濁別義」と称される現象について2014

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介 野原将揮
    • 学会等名
      TB+OC研究会2014年度第1回研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-07-06
  • [学会発表] 『清華大学蔵戦国竹簡』(参)『皇門』を読む(上)2014

    • 著者名/発表者名
      東京大学古文字読書会(戸内俊介 野原将揮 海老根量介 宮島和也)
    • 学会等名
      上博楚簡研究会(「漢字文化研究会」(平成26年度科学研究費補助金(基盤研究(B))定例研究会)第67回研究会
    • 発表場所
      日本女子大学
    • 年月日
      2014-06-26
  • [図書] 中国学入門 中国古典を学ぶための13章2015

    • 著者名/発表者名
      二松學舍大学文学部中国文学科
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      勉誠出版
  • [備考] Linguistics for Old Chinese

    • URL

      https://sites.google.com/site/linguisticsforoldchinese/

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公開日: 2016-06-01  

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