本研究は上古中国語の機能語が文法化によってどのように成立したのかを、出土・伝世両文献を用いつつ検討したものである。文法化は上古中国語研究の一大関心事であるが、その研究は従来、統語的機能面の検証に重きが置かれてきた。しかし現在、上古の機能語については具体的意味や談話機能も判明しつつあり、このような現状を踏まえ本研究は、これまで看過されがちであった、機能語の具体的な意味や談話機能に着目しつつ、個別の事例として「于」「而」「其」の3つを取り上げ、個々の機能語に対する意味的談話的分析の結果を文法化研究という文脈に取り込みつつ、文法化の事例として一般化を試みた。
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