日本近代の雑誌メディアにおける座談会記事の流通と、それが文学・批評においてどのような役割を果たしたかを調査した。戦前、昭和初期の誌上座談会を資料として収集し、小林秀雄らが関わった『文学界』に代表されるこの時期の文芸座談会の批評的な役割の分析が主な目的だったが、それを明らかにするために傍証として必要な資料の収集に難航した。また、体調を崩したこともあり、まとまった形として発表できなかった。話し言葉として半ば放言することがこの時期の批評に、その言葉の責任に二重性を付与していたことについて今後、改めて発表する機会を持てればと思っている。
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