研究実績の概要 |
今年度はまず、学習者翻訳コーパスの作成・活用に必要な要素技術の動向調査を行った。アジア太平洋機械翻訳協会を通じて翻訳コーパスのフォーマット、コーパスデータに基づく自動翻訳評価システムを調査、検討した。自動評価システムに関する調査、検討については、The 28th Pacific Asian Conference on Language, Information and ComputingやMultiple Approaches Xmultilingual Frame Semantics Wordnet Generative (MAPLEX) 2015といった学会などを通してもおこなっている。 また、2015年1月31日に、企業、翻訳会社、翻訳者を対象とした「第3回JTF関西セミナー(大阪)」に参加した。「機械翻訳と向き合うときが来た-MTをもっと身近に、現実的に考える-」をテーマに開催された本セミナーでは、各立場における現状や問題点、今後の課題について調査をした。 さらに、約100名の英語学習者による約100文の英日翻訳データを収録した学習者翻訳コーパスを作成し、評価データの付与作業を行った。収録された英日翻訳データに対して人手による評価結果を付与するために、英語原文を句レベルに解析し、日本語翻訳文との対応付けの自動化を検討した。その結果、英語原文と日本語翻訳文それぞれの自動解析は高精度であったが、対応付けは一定の精度が得られなかった。対応付けが困難な要因を調査した結果、日本語母語話者であっても日本語としては非文法的な文を生成していることが一つの要因として判明した。そのため、人手による対応付け作業に切り替えたが、その結果、評価作業が終了に至らず、現在も評価作業を続行中である。
|