本研究では、思考力について、理論的な研究とともに、創造的な思考力についての教育実践の観点からの研究も進めてきた。 (1)本年度は昨年度に引き続き、研究会等を通して先行研究にかんする理論的な研究に取り組んできた。特に因果性と知覚にかんする研究を調査した。ここからいくつもの示唆を得ることができた。ただ、残念ながら、研究期間内に論文等としてまとめることができなかった。この研究によって得られた成果を基に今後も成果を発表していきたい。(2)教育実践における研究では、演劇における即興的創造性に注目し、先行研究を調査するとともに、即興演劇の実践家を招いてのワークショップを行った。これらの経験から、演劇における即興的創造性が対話型学習における創造的思考力と同型性を示す可能性に気付くことができた。(3)教育実践における研究では、実際の授業を基にした教育学的研究も進めた。特に米国ハワイ州における「子どもの哲学」の実践を調査するとともに、授業実践にかんする論文を執筆した。また、本研究における教育学的側面の主要な部分を占める「子どもの哲学」の創始者であるマシュー・リップマンの主著の一つを翻訳(および、監訳)をした。
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